2019年6月20日(木)、筋強直性ジストロフィー患者会(DM-family)は自治医科大学医学部6年生のみなさんに患者と家族の声を聞いていただくため、2名の会員が講義を行いました。当日は空席がほとんどみられないほどたくさんの医学生が参加され、熱心に聴講していただきました。

この講義は、昨年に引き続き自治医科大学医学部神経内科学教授 松浦 徹先生からのお申し出によって実現しました。

数ある難病のなかで、筋強直性ジストロフィー患者は年齢、症状も多種多様に存在しています。また、患者を支える家族も抱える悩みや葛藤も家庭それぞれにあります。

講義当日は妻と子が患者で、夫として・親として家庭を支えている高橋真明、母親と兄が患者で、それぞれに抱える症状の違いと在宅介護の実態を桑澤裕美子が話しました。

冒頭、松浦先生から「筋強直性ジストロフィー」について講義がありました。
筋ジストロフィーとは、遺伝的な原因で筋肉の障害をきたす病気の総称です。「筋ジストロフィーはそれぞれの病型ごとに、病気が異なります」。

筋強直性ジストロフィー患者と他病型の筋疾患患者との違い、筋疾患の診療の仕方など、これから医師となる医学生が知っておくべき内容でした。

説明の最後に「とにかくこの遺伝性の病気に気付いてほしい。親子で罹患したご家族のみなさまに来学して頂いたので、二度と忘れないように!」と力強い言葉で語られました。

妻と子供が患者。「父としてこの家族と一緒に"幸せに"生きていく」

高橋真明から「先天性筋強直性ジストロフィー~患者を持つ父の「過去と現在」そして「これから」~」と題して話を始めました。

高橋の本業は企業で活躍するビジネスパーソン。プレゼンテーションを得意としており、「病気を持つ家族として、父親しての気持ちの変化についてこれから医師を目指す医学生にくつろいで聞いていただければ幸いです」と講義の合間に医学生を労わる場面もありました。

妻は妊娠中から子どもの発育状態が良くないと言われ、不安な出産を向かえました。帝王切開して生まれた子どもはNICUに入る事態に。さまざまな懸念が医師から示されました。

産後の妻も症状が思わしくない状態で、高橋は、ただただ医師に「お願い」するだけ。さらに子どもは「頭蓋骨縫合早期癒合症」と診断され、手術を受けることになり、その間の憂鬱な日々は「地獄のようだった」と振り返ります。

人生が思うようにいかなくなる恐怖と、仕事で多忙な日々を過ごす中、高橋自身も休養が必要な状態になったと言います。

休養期間中は、先輩患者の「病気でも楽しく生きる術」があること、子どもが自分の想像以上に成長していたこと、なにより妻をはじめ医師や周りの環境に「もっと甘えても大丈夫」と支えてもらっていたことに気付き、気持ちが前向きに変わっていきました。

最後に、「進行性の病を持つ家族としてこの先、どのように幸せに生きていくか、まだ答えは見つからないが、それを考え父としてこの家族と一緒に幸せに生きていくことが幸せだ」と高橋は過去、現在そしてこれからの心境の変化と決意を語りました。

親子でも症状が違う。「介護者自身も勇気を出して相談することが大事」

桑澤裕美子から「筋強直性ジストロフィー~母親、兄の発症と在宅介護の様子~」と題し、母と兄の発症時の様子と普段の在宅介護の様子について発表しました。

桑澤は、日々進行しているこの病気を抱える母と兄の在宅介護をしています。診断当時からから現在までかかった病歴を挙げ、「当時はわからなかったが、今にして思えば筋強直性ジストロフィーの合併症からくる症状だったのではないか」と、この病気に特有のさまざまな症状に直面する患者と家族の不安を話しました。

在宅介護も、開始当時は事前知識もなく母と兄の症状の違いに戸惑い、先を予測して動けない状態に。自身の介助の方法に疑問と不安を覚え、介護うつにもなりました。

増え続ける介護。その対処法として訪問サービスを活用、第三者に相談できる機会が増えて次第に介護うつを克服し、現在では前向きに二人の病気と症状と向き合い日々を「安定した療養生活を楽しく過ごすために」何をすべきかを模索しています。

「介護者自身も勇気を出して“助けてほしい”と声を出して相談することが大事。そして、病気を家族としてしっかりと理解して周りに伝えて理解者と協力者を増やすことをこれからも続け、二人に心から寄り添って支えていく」と在宅介護に対する考えを話し、発表を締めくくりました。

患者の後ろには必ず支えている家族がいる

会員の発表後、医学生のみなさんから会員とその家族に向けた質問も多く発せられました。

松浦先生からは「進行性の難病患者さんの過酷な療養生活の実態とその家族の介護の様子と苦悩、それに負けないで前向きにどう対応していったかを理解して、難病患者さんとそのご家族のみなさんの希望となるような医師になってほしい」とこれから同じ医療者になる学生さんに向けて強い願いを込めた言葉に感謝しつつ、最後に松浦先生と学生さんたちと一緒に写真撮影をしていただき、講義を終えました。

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