治療法開発に患者の協力が求められています

根本治療をめざして世界で進む治療薬開発

2019年6月9日、「筋強直性ジストロフィー1型に向けて製薬企業各社がどのような開発を進めているのか」を一覧表にしたサイトがリリースされました。

この表の作者は、DM1researchさん。アメリカ在住で、妻子が筋強直性ジストロフィーを患っています。

ほとんどの治療薬は原因遺伝子の変異に基づいた治療薬のため、原因遺伝子が不明な患者での治験は行われません。また、仮に販売されるときにも遺伝子検査なしに処方はされません。

まずは遺伝子検査を受けて患者登録を行い、日本でも治験ができるようにする必要があります。

筋強直性ジストロフィー患者会では、DM1researchさんにコンタクトを取り、日本語化した表を掲載させていただく許可を得ました。DM1researchさんに感謝いたします。

なぜこの病気になるのか、原因を知っておこう

筋強直性ジストロフィー1型は、19番目染色体にある遺伝子(DMPK遺伝子)の末端で、DNAの塩基C(シトシン)、T(チミン)、G(グアニン)の繰り返しが異常な長さになることによって起きる病気です。通常の繰り返し数は5~37回ですが、患者は50回以上、数千回になる方もいます。

なぜ繰り返しが長くなると病気の原因になるのか?それは、次のようなことが起きているからです。

1.DNAの繰り返し数が伸びている
2.DNAを転写してできたRNAも伸びる
3.伸びたRNAが細胞核の中に「ヘアピン構造」となって溜まる
4.溜まったRNAが、RNAの並べ方を調節するタンパク質「MBNL」を吸着する
5.「MBNL」が不足し、ほかのタンパク質のもととなるRNAの並べ方が異常になる→いろいろな症状になる

例)
塩化物イオンチャネル→筋強直
心筋ナトリウムチャネル→不整脈
インスリン受容体→糖尿病

治療薬開発で研究されている、さまざまな方法

筋強直性ジストロフィーの根本治療法として検討されている主な例としては、次のようなものがあります。

  • 核酸医薬品によって、細胞核に溜まったRNAそのものを分解する方法
    「アンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)」という方法などが検討されています。
  • 細胞核に溜まったRNAにMBNLが吸着しないようにする方法
    低分子化合物を使う方法などが検討されています。

2019年現在、低分子化合物を使う方法での治療薬開発が治験段階に進んでおり、アンチセンスオリゴヌクレオチドを細胞に届ける力を強める薬の開発や、遺伝子編集なども進められています。

治療法の開発には、治験。治験のためには、患者登録

治療薬を日本国内で使えるようにするためには、次のようなプロセスがあります。

  1. 日本でも治験が行われること
  2. 日本の患者に対する安全性と有効性が確認されること
  3. 販売の認可がされること

一方、製薬企業は巨額の資金をかけて治験を実施するために、対象となる患者数がどのくらいいるのかを把握する必要があります。
患者登録」のデータは、次の点から製薬企業にとって有用なものです。

  • 患者の遺伝子診断によって、原因遺伝子が特定されている
  • 患者がどこに住んでいて、どのくらいの症状と経過かがわかる
  • 国際的な取り決めに合った検査項目

こうしたことから、できるだけ多くの患者が「患者登録」を行い、更新を続けることが治療薬入手には欠かせません。