治療法の研究・治験を手がける芦澤先生への質問を募集中!

2016年5月22日(日)に開催される「知っておきたい筋強直性ジストロフィー@大阪part2」で特別講演をする芦澤哲夫先生は、米国で筋強直性ジストロフィーに関する治療法の研究・診断を手がけているほか、製薬会社アイオニス・ファーマシューティカルズで開発中 の治療薬に関する治験も実施されました。

DM-familyでは、5月22日の講演に向けて「芦澤先生への質問」を取りまとめています。治療法について聞いてみたいことなど、質問されたい方は5月13日(金)までにDM-familyの「お問い合わせ」フォームから質問をお送りください。(会員以外の方からのご質問も募集します。時間に限りがあるため、すべての質問にお答えいただけない場合もありますので、ご了承ください)

なお、芦澤先生がこれまでにどんな活躍をされているか、米国の患者会「筋強直性ジストロフィー財団(Myotonic Dystrophy Foundation)」が詳しく紹介しています。

DM-familyは、Myotonic Dystrophy Foundationのご厚意を得て、紹介記事の全文を翻訳しました。同じ病気を持つ患者と家族として、Myotonic Dystrophy Foundationのみなさまに感謝を申し上げます。
※2014年12月時点の内容のため、現状と少し違う点もあります。ご了承ください。

芦澤 哲夫先生について​​

基礎研究から診療まで、筋強直性ジストロフィーに取り組む

芦澤哲夫先生は、同僚や患者には「ティー」という愛称で知られ、筋強直性ジストロフィー(DM)治療法研究に主に携わってこられました。

筋強直性ジストロフィー1型治療の初の臨床試験※1に、7名の主任研究者の1人として加わることになっており、治療法確立にさらに近づくことになるかもしれません。
研究に献身的かつ根気強く打ち込むと共に、筋強直性ジストロフィー患者への最良の治療の提供にもご尽力されています。芦澤先生の活動は、基礎研究からトランスレーショナルサイエンス(科学的知識から臨床診療への橋渡し)、患者主体の研究、診療、と多岐にわたっています。

もともと神経筋疾患の教育を受けた芦澤先生が、最初に筋強直性ジストロフィーに携わるようになったのは、基礎研究者としてベイラー医科大学(Baylor College of Medicine)のチームに加わり、DM遺伝子を探索していた時でした。

「当時、世界で数チームが原因遺伝子の特定に取り組んでいました。」と芦澤先生は語ります。「面白いことに、1992年に様々な研究チームが同じ発見をしました。これがDMPKの特定で、筋強直性ジストロフィー1型の遺伝子変異の原因となるものです。当時は心躍る思いで、ここから私たちの治療法探究への道が始まったのです。」

患者が研究者にとって重要な役割を果たす

1998年、芦澤先生が研究を進めていた頃、1通のEメールが届き、これが先生の視野を広げるきっかけとなりました。

小児期発症の筋強直性ジストロフィー1型を持つ2人の息子を抱えるシャノン・ロード(Shannon Lord)さんが、筋強直性ジストロフィーの研究を促進するための寄付を申し出たのです。彼女はハンター基金(Hunter Foundation)を通して助成金を提供したのですが、この基金はロードさんの長男に因んで名付けられ、研究プロジェクトの支援を目的にシャノンと夫のラリー(Larry)が設立したものでした。

この助成金を機に、芦澤先生とロード夫妻の間の長い友情が育まれ、やがては共に筋強直性ジストロフィー学会を主催するに至りました。
「とてもパワフルな学会でした。」と芦澤先生は語ります。「開催前は、研究者たちは筋強直性ジストロフィーを顕微鏡で観察していただけでした。でも今や、研究者たちは患者の顔を見て理解することができるようになったのです。皆の士気が大いに高まり、研究を進める強力な推進力となりました。」

それまでに、芦澤先生はIDMC (筋強直性ジストロフィーの国際学会)も共同設立し、筋強直性ジストロフィーに取り組む研究者、臨床医が集まりました。
シャノン・ロードさんも2001年に京都で開催された第3回のIDMC隔年会合に出席し、患者の支援者としての役割を果たすと共に、IDMCの研究団体に患者支援者を引き合わせました。
第4回の会合には、約100名の患者と家族が出席し、それ以来、この国際会議に多数の患者が参加するのが慣例となっています。今日では、IDMCの会合は、世界の研究者、臨床医と患者が一堂に会する、またとない機会となっています。IDMC 10は、2015年6月にフランス・パリで開催されます。*2

「患者の関わりなくして、研究の最先端を推し進めていくことはできないでしょう。」と芦澤先生は語ります。

研究はラボの外へ

2011年までに、筋強直性ジストロフィーの研究は、筋強直性ジストロフィー1型治療法の開発と共に目覚ましく進歩しました。
現在、米国の7箇所の研究機関、臨床施設で初の臨床試験に向けて準備を進めています。これはアンチセンス・オリゴヌクレオチド(ASO)を使用した療法(DMPKrx)※1の効能を患者に試すためのものです。芦澤先生が主要研究員を務めるフロリダ大学※3が治験施設として使われることになっています。

芦澤先生は、研究に必要な様々な細胞タイプ(筋肉、心臓、あるいは脳細胞など)へと分化できる、筋強直性ジストロフィー1型の患者由来のiPS細胞に注目したプロジェクトも立ち上げています。
これらの細胞タイプは、筋強直性ジストロフィーがいかに身体の様々な器官に影響を与え、症状を引き起こすかということを、解明するのに役立ちます。臨床で使用するのはまだ先の話ではありますが、iPS細胞は筋強直性ジストロフィー1型の治療可能性を持つ新薬開発のための化合物スクリーニングの基盤として、より即効で重要な機能を持っています。「筋強直性ジストロフィー研究においてとてもエキサイティングな時期なのです。」と芦澤先生は語ります。

診療所で分野横断的なケアの提供

研究プロジェクトに加え、芦澤先生はフロリダ大学※3での臨床プログラムの責任者も務めています。患者は、心臓専門医、麻酔専門医、遺伝学者等、分野横断的な医師のチームの恩恵を受けることができます。

「我々は患者がふさわしい臨床試験を受けられるよう力になりたいと思っています。新たな治療法が有効になったら、なるべく早くその治療を受けられるよう努力します。」と芦澤先生は語ります。

芦澤先生は190以上の論文と35冊の共著本を発表しています。先生は現在※3、フロリダ大学のマックナイト脳研究所(McKnight Brain Institute)の専任理事、フロリダ大学医学部神経学科教授、MDFの科学諮問委員会に所属しています。モーリス・スワンソン(Maurice Swanson)医師、S.H.サブラモニー(Subramony)医師と共に、ローラ・ローナム(Laura Ranum)医師をフロリダ大学に招き入れ、他にも筋強直性ジストロフィーの有力な研究者を採用して、世界でも最強の研究チームを結成しようとしています。

「研究と治療の可能性の兆しが見えてきたと期待しています。まだ先は長く、解決しないといけない問題はたくさんありますが、研究の手は止めません。我々は患者のために、そして患者と協力して治療法を見つけるために邁進します。」と芦澤先生は話しています。

 

※1:アイオニス・ファーマシューティカルズ社にて開発中の治療薬「IONIS-DMPKRx」のことを指します。
※2:IDMC10は10回目となる会合で、2015年6月にパリで開催されました。原文は2014年12月に公開されています。
※3:芦澤先生は現在、ヒューストンメソジスト研究所に在籍されています。

 

本記事はMyotonic Dystrophy Foundationよりご提供いただきました。ここに感謝を申し上げます。
原文はこちらからご覧いただけます。