「筋強直性ジストロフィー治験推進のための臨床基盤整備の研究」27年度報告書が公開されました
2016年8月18日、「筋強直性ジストロフィー治験推進のための臨床基盤整備の研究」平成27年度委託業務成果報告書が公開されました。
この研究は新規治療の開発が進みつつある筋強直性ジストロフィーにおいて、治験を推進するために必要な臨床基盤の整備を目的としています。
患者数の少ない筋強直性ジストロフィーの治験成功に向けて
本報告書は570ページに及ぶ膨大な内容です。巻頭に収められた「総括研究報告書」によると、治験の成功には以下の点が必要とされています。
・正確な診断
・機能障害、合併症等を含む臨床データの集積
・治験実施可能調査、円滑なリクルート*1のための患者登録
・現在可能なbest practicable care*2の実践
*1:被験者を募集すること
*2:最善の実行性ある治療
筋強直性ジストロフィー患者の課題を解決するための研究活動
筋強直性ジストロフィーは骨格筋以外にも中枢神経を含むさまざまな臓器が冒されます。症状の自覚が乏しいため、受診をしていない患者が多く、受けている医療にもばらつきが多いなどの課題があります。
このため、この研究では①患者登録推進、②アウトリーチ*3活動、③筋ジストロフィー指定難病関連作業、④プロジェクト研究、⑤個別研究と、多岐にわたる活動を行っています。
*3:通常の枠を超えて手を差し伸べ、支援を届ける取り組み
筋強直性ジストロフィー患者会にも医療情報提供
2016年3月から立ち上がった筋強直性ジストロフィー患者会にも、研究活動の一環として医療情報提供が行われたことが記載されています。
当患者会には「アラートカードキット」をはじめ、医療情報提供に関する指導のご支援をいただいています。
また、2015年度は1年間で9回の市民公開講座や講演を行い、市民公開講座のWeb中継では毎回100名以上のアクセスがあったと報告されています。ホームページ(http://dmctg.jp/)では、妊娠・出産や麻酔に関する注意事項、診断された方へのメッセージ、日常に役立つヒント集(和訳)などコンテンツを充実したことも報告されています。
報告書は「専門家による筋強直性ジストロフィーの臨床情報」ホームページからダウンロードしてお読みいただけます。
※国立研究開発法人日本医療研究開発機構 障害者対策総合研究開発事業 神経・筋疾患分野「筋強直性ジストロフィー治験推進のための臨床基盤整備の研究」