「長生きして幸せに」筋強直性ジストロフィー患者会からのメッセージ

2016年7月17日(日)、市民公開講座「知っておきたい筋強直性ジストロフィー@仙台」にて、筋強直性ジストロフィー患者会(DM-family)は「みんなの支えも大きな力」として、患者会活動について発表を行いました。

*発表資料のダウンロードはこちらから(発表内容は2016年7月17日時点です)

自分のため・みんなのために患者登録を

 筋強直性ジストロフィー患者会は、患者登録数の増加を目標のひとつに掲げています。

 患者登録とは、治療薬を手に入れるために必要なことです。

 治療薬を手に入れるには国の承認が必要です。国の承認を得るには、治験をする必要があります。治験を行うには患者が必要です。ところが、この病気の患者は数が少ないので、どこに何人・どんな症状で暮らしているのかわかりません。そこで患者登録をして、患者に治験があることを知らせ、治験をすみやかに進めることが必要です。

 患者登録は、治療薬を開発する多くの研究者や製薬企業の努力に応えることができ、そして後に続く子どもや孫、その先の世代のためになることなのです。

「受診に来ない患者さん」

 当患者会の理事長、籏野あかねは2015年1月に大阪で開催された市民公開講座「知っておきたい筋強直性ジストロフィー」で「受診に来ない患者さんがいる」ことを知り、「受診に来ない患者さんに、患者登録のことを知らせたい」という思いから患者会設立を決心しました。

 同じ病気の仲間たち10名とともに、筋強直性ジストロフィー患者会は2016年にNPO法人として設立しました。

長生きして幸せに暮らすこと

 2016年3月から患者会は活動を開始。しかし、2016年5月時点でも患者登録数は伸び悩んでいました。

 患者登録は治験をして患者がより良い治療を手に入れることがゴールです。

 では、患者会は何を目指していくべきなのか?

 わたしたちのゴールは「長生きして、幸せに暮らすこと」です。

 

寿命を決めるのは、病気のことを「知っているか、知っていないかの差」ではないでしょうか。現代の医療は、知っていれば対応できることがたくさんあります。治療法だけでなく、生活の質を向上させることも重要です。

 幸せに暮らすためには「良い人間関係を築くこと」。これは、ハーバード大学で「幸福の研究」をしているロバート・ウォールディンガーさんが導いた結論*1です。

 良い人間関係を築く。自分にできることで他人のためになることをしたり、ひとりで悩まずにみんなで考えたり。

 「孤独は寿命を短くする」とウォールディンガーさんは語っています。

 だからこそ、患者会は楽しく、支え合える会にしていきたいと考えています。

 そして、良い人間関係を築くための言葉は「ありがとう」です。

家族や友人、診察をして無償で患者登録に協力してくださる主治医の先生をはじめ多くの医療関係のみなさまに、患者登録のデータを管理してくださる神経・筋疾患患者登録「Remudy」と大阪大学大学院に、治療法の研究に取り組む多くの研究者・製薬企業のみなさまに。

 そして、ともに進む、同じ病気を持つ仲間たちに、深く感謝します。

 筋強直性ジストロフィー患者会は、患者の長生きと幸せを目指し「ありがとう」と声を掛け合える患者会でありたいと思います。

 患者と家族のみなさま、情報を分かち合い、ともに前に進むために、筋強直性ジストロフィー患者会へのご入会をお待ちしております。

 そして、患者と家族を支えてくださる方、多くのみなさまからの温かいご支援とご声援をお願い申し上げます。

*1:TED「ロバート・ウォールディンガー: 人生を幸せにするのは何? 最も長期に渡る幸福の研究から」