先天性・小児期発症児の子育て~家族のQOLを大切に:Zoom談話室第3回レポート

2020年9月26日、DM-family会員同士のZoom談話室(第3回)「子育てのヒントを得よう」が開催され、大分大学教育学部の藤野陽生先生から「自己肯定感の育て方や親の障害受容」についてお話しいただきました。

新型コロナウイルス感染症での自粛生活や遠方で会う機会が難しい会員が、Zoomで気軽にハンディキャップのある子の子育てや対応を学び、悩みを話し合い共有する貴重な機会となりました。

子どもの自己肯定感を育んでいくには:スモールステップと、ほめること

藤野先生から「ハンディキャップがあるお子さんは、成功体験が少なく、自分に自信を持てる機会がどうしても少なくなってしまいがち。自己肯定感を育むために親や周りができることを一緒に考えていきたい。そこにはいつもの子育てにちょっとした“ヒント”が隠されているかもしれません。」というお言葉をいただきスタートしました。

先生:「先天性のお子さんの場合は、成長に伴って徐々に知的発達に関わる問題が前面に出てくることになり、自己肯定感を育むために成功体験を積むことが大切です。保護者が欲張らずに、スモールステップとほめることを意識していきましょう。」

会員:「成長がゆっくりなので、ほめる、ほめられることが習慣となりやすく、次のステップに進む時期をとらえることが難しいです。」

先生:「全部のステップをほめるのではなく、最終段階の目標を達成したらほめるという方法もあります」「ほめ方のバリエーションを増やしましょう。」

会員:「今は“かわいい”と言われているが、大きくなれば人の対応が変わるので、戸惑わないか心配です。」

先生:「人の対応が変わって戸惑うお子さんは時々見られますが、本人の性格や大人の理解があれば、大丈夫ですよ。」

子どもの障害を受け止めていくこと:受容=ゴールではない

先生:「障害、病気を必ず受容しないといけないのでしょうか?
受容=ゴールでありません。なによりも、子供、自分、家族のQOL(Quality of Life:生活の質)を高めていきましょう。

「そして、親として、子育てに困ったときは、助けを求める、相談するのはとても大切なことです。人と話したり、共感したりすることで、心理的な支えになります。親自身も、自分を労わることが大切です。」

やんちゃな子どもの話で盛り上がった交流会

交流会では、お子さんの身体やことば、食事の状況、好きなことを紹介してもらいました。

「歌やダンスが好き」

「冷蔵庫を勝手に開けるなどやんちゃです」

「反抗期です」

「今日の講演に反して自己肯定感が高すぎです」

「身体と精神の薬の服用で困っています」

「新型コロナの影響でリハビリ等の通院で困っています」

などのお話があり、相互理解と交流を深めることができました。事務局長が「日本語ってほめる言葉が少ないよねぇ」というと、「○○をしてくれてうれしい!」というほめ方もあるよね、と、親ならではの言葉もありました。新型コロナが収束したら、皆さんで子どもと一緒に集まってほめる練習をしましょう。