世界中の各国と手をつないで― わたしたちはここにいます!:「国際筋強直性ジストロフィー啓発の日ティーパーティ 2024」
2024年9月15日(日)、国際強直性ジストロフィー啓発の日を記念して会員や家族・ご友人が集いティーパーティを開催しました。
9月15日は世界中の筋強直性ジストロフィー患者や家族・支援者たちが、気持ちを一つにする日。
DM-familyでは2023年より、この日を記念して交流会を開いています。
国際筋強直性ジストロフィー啓発の日
(International Myotonic Dystrophy Awareness Day)とは?
2021年に「毎年9月15日を国際筋強直性ジストロフィー啓発の日とする」ことを筋強直性ジストロフィー国際連盟で制定し、世界各国の患者と家族が協力し、市民や医療従事者、製薬業界とともに同じ目標に向かって歩もう!という記念日です。
埼玉県の大宮ソニックシティを会場に、本年度の啓発の日は参加者同士の懇談と交流会がメインのティーパーティ
北は青森から南は兵庫・愛媛という遠方からの参加者も続々と会場に到着し、受付をすませたら思い思いの場所に着席。おもてなしのケーキは、会場に隣接するパレスホテル大宮の「アマエール」。イチゴ・キウイ・バナナやベリー類など、フレッシュな果実がふんだんに使われたロールケーキをいただきながらの歓談に花が咲きました。
ワクワクドキドキの開始前・・・
開会を待たずに続々と集まる参加者の皆さん。
2020年に企画した「ミナコの部屋」や、この夏の「対話支援お試し」など、オンラインで顔を合わせた会員同士が初めてリアルでご対面。「お会いしたかったです!」「わたしもです!」と挨拶を交わす会員同士。
お名前を確認してロールケーキとドリンクを。少し早めに到着した参加者たちが手際よくお手伝いに入り、当日のスタッフをフォローする姿も。
開始前、それぞれに手分けをして準備中。 ロールケーキをカットしたりドリンクを並べたり、皆さんの協力で運営されています。
筋強直性ジストロフィーについて―過去の経験の継承と今後への展望-
国立病院機構下志津病院 神経内科 三方崇嗣先生からのご講演は、筋強直性ジストロフィーを含む、筋ジストロフィー医療のこれまでのお話しから始まりました。1960年代から筋ジストロフィー病棟が設けられ、1990年代には気管切開をしない経鼻陽圧人工呼吸器(NIV)などが導入され、QoLを重視して早期に車いすを使うことや、負担の強すぎないリハビリが行われるようになりました。
こうした医療の進展から、デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは呼吸不全でなくなる患者は劇的に減少しています。
しかし、筋強直性ジストロフィーでは、呼吸不全で亡くなる患者は減少していません。
「筋強直性ジストロフィーと診断されたら、定期的に専門医の受診をしてください。窒息や不整脈による突然死の頻度は10パーセントと、変わっていません。とにかく丸飲みしないように注意してください!」と、三方先生から参加者に呼びかけがありました。
2017年以降に他の筋ジストロフィーで治療薬が出始めていることから、「こうした治療薬の情報は、患者登録(Remudy)をすると得られるかもしれない」と紹介されました。患者と家族が、この病気に積極的に取り組むことが必要とわかりました。
自己紹介、そしてお待ちかねの交流タイム。時間はあっという間に過ぎていきます
マイクを手渡して一人ずつの自己紹介。知らないだけで、案外近くにお住いの会員同士が出会えたりもします。
↑フリータイムは自由に席を移動しておしゃべり。
↓子どもたちも「こんにちは!」
顔を合わせることで、オンライン以上に心の距離も近くなり、話が弾みます。
筋強直性ジストロフィーという疾患でつながる患者や家族・友人だからこそ、お互いが理解し合えることも多くあります。ここで出会えるのは仲間。そう、みんな家族です。
フリータイムの後は「タネも仕掛けもありません!」マジックショーにくぎ付け!
山形県の会員・清野裕史さんは、当日まで極秘のお楽しみイベント『マジックショー』でパーティを盛り上げてくれました。大人も子供も身を乗り出して、瞳を輝かせながら華麗なるショーを見つめていました。
定番のスカーフあり、コインあり、カードなどなど…。会場の参加者を巻き込んでの楽しいひと時は、あっという間に過ぎていきました。
清野さんはマジックを練習して施設などを訪問し、地域の高齢者たちに楽しんでいただくこともあるそうです。来年もぜひ参加して欲しいですね。
家にいても、座ったままでもできるストレッチをみんなで一緒に
楽しい歓談とワクワクのマジックショーで心をほぐした後は、家の中でイスに座っていてもできるストレッチを教えていただき、一緒に体をほぐしました。
講師は国立精神・神経医療研究センター病院 身体リハビリテーション科からお越しいただいた有明陽佑先生、芦田愛先生、松永彩香先生、中元千聖先生、大澤朋幹先生。
参加者7~8名ずつに分かれたテーブルに、お一人ずつが分かれてスタンバイ。
参加者一人ずつの状態に合わせた無理のないストレッチを、丁寧に指導していただきました。
スライドを見ながらポイントを説明し、まずは見本を実演していただきます。
各テーブルではそれぞれにアドバイスを受けながら実践しました。
患者自身では難しいところは、家族からのサポートを受けながら、無理のない範囲で体を緩めていきました。
筋強直性ジストロフィーは、症状の個人差が大きいため、それぞれに必要で適した運動やストレッチにも差異があります。今回のように少人数で、一人一人が的確なアドバイスを受けられる機会はなかなか得られないと、喜びの声が聞かれました。
閉会の前に参加者全員での記念撮影、そして名残を惜しんで時間ギリギリまで交流は続きました
この日、早くから集まり、使用する機材のセットや、会場のテーブルやイス、お茶・お菓子の準備や受付などに尽力した事務局スタッフと運営スタッフと、さらにお手伝いに加わっていただいた会員と、遠くから、また近くから参加した会員が、楽しい時間を一緒に過ごし、みんなが笑顔で帰途につくことができた、素晴らしい啓発の日となりました。
世界中の筋強直性ジストロフィー患者団体が、この9月15日に啓発の日を記念する活動を行っています。
海外で、そして国内でも、治療薬の開発に向けて勢いが増しているように思われる今、そのスピードに負けないように、私たちも「ここに、患者と家族がいます!」と声を上げアピールを続け、世界中の仲間とともに学んでいきましょう。
当日の司会進行・小川晃佑さん、全体指揮の平野悟さんはじめとする裏方の皆さん、お疲れ様でした。