「暮らしに役立つ筋強直性ジストロフィーとのつきあい方in神戸」レポート(2):患者も家族も「気持ちいいところまで伸ばす」ストレッチを
2017年7月2日(日)、DM-familyは「暮らしに役立つ筋強直性ジストロフィーとのつきあい方 in神戸」を神戸市立兵庫勤労市民センターにて開催しました。
今回は、前回のレポート(1)に続き、「患者にも家族にもできるストレッチ体験」、参加者との交流会などの部分についてお伝え致します。
筋強直性ジストロフィー患者会(DM-family)って?
セミナーの開催にあたり、本患者会の説明を行いました。本患者会は2016年3月に発足しました。目指すところは「長く、幸せに生きていく」です。そのために以下の方針で活動しています。
●患者登録数を増やして、治療法開発につなげる
→患者自らが動かないと治療法の開発は進みません。患者にできること。そのひとつが患者登録です。患者登録の大切さを広め、登録数を増やします。
●患者と家族の知識向上と交流
→病気の正しい知識を知ることは非常に大切です。正しい情報(医療情報と社会サービス、治療薬開発状況など)を共有し、よい療養に役立てます。また、セミナーや患者交流会などの開催や、緊急時に適切な治療を受けるのに役立つアラートカードや、患者と家族が「何をしたらいいのか」「どうすべきか」をまとめた小冊子の配布を行います。
●「筋強直性ジストロフィー」という病気の認知度向上
→医療者の方々も含め、広く一般に本疾患のことを知っていただく活動を行うことで、社会への貢献にも繋がります。
今年度は、日本で初めて先天性筋強直性ジストロフィーを対象とした勉強会の開催(7/23)や、世界中の製薬企業と研究者が来場する筋強直性ジストロフィーの国際学会(IDMC11;San Francisco 米国)で展示を行い、日本にも多くの患者とその家族がいることを伝えてくる予定です。
本患者会は筋強直性ジストロフィーに特化した、これまでにない会です。是非、ご入会およびご寄付をお待ちしております。
気持ちいいところが大事、患者にも家族にもできるストレッチ体験
専門の先生による、持続可能なストレッチの紹介
1.座りながらできる簡単ストレッチで関節可動域を維持しよう
●『椅子に座って簡単にできます』
山本洋史先生(国立病院機構 刀根山病院)から、患者さんだけでなく、その家族の方や周りの方も椅子に座って簡単にできるストレッチを紹介していただきました。
筋力が低下しても、関節の可動域をできるだけ維持していくためには毎日のストレッチが有効です。
また、患者さん以外の方にも簡単にでき、普段の生活に役立つストレッチでもありました。
●『痛いのはだめ』
今回は手首・指・背中・腕などのストレッチを行ったのですが、すべてのストレッチに関して共通して言えるのは「無理をしない、痛いくらいしない、気持ちいいところまでする」ということです。
今回の市民公開講座には患者さんやその家族以外に患者さんを診ている鍼灸整体師の方も参加しており、非常に参考になったとのこと。
実際、その整体師の方いわく、正しい知識を持たずにストレッチをされる方は結構いらっしゃるようで、「痛い」と思うところまでやってしまうとのこと。
このストレッチ体験を通して、正しいストレッチの方法が広まればいいなと言われていました。
なお、このストレッチの詳細内容については後日、患者会会員限定でビデオ公開を予定しております。
2.先生への質問コーナー
●「1時間に1回は休憩を」
ストレッチコーナーの最後に、いくつかの質問がありました。
「旅行が趣味なため、車で長距離移動をする時が多いのですが、その時に注意することはないですか?」という質問に対しては、「体を動かさないことが原因による、硬直が心配なので、できたら1時間に1回は休憩をとってください」と、答えられました。
●「長距離移動の際は体の硬直に気を付けて」
その後の補足説明として、車だけではなく、電車やバスなど、長距離移動の際に姿勢が一定の状態になってしまう場合は同じことが言えるそうです。
今後、長距離移動する際はできるだけ休憩をとること、またそれが難しい場合は今回行ったストレッチを参考に体を伸ばすことが大事とのことでした。
3.閉会後にいただいた言葉のご紹介
●「知らなかったことを知ることができた」
DM-family初の神戸開催ということもあって、会場はほぼ満員になりました。
多くの方が今回のこの会を通してそれまで知らなかったことを知ることができた、とおっしゃってくださいました。
また、会を主催したDM-familyのことだけでなく、患者登録やその必要性について、医療機関で行っている活動など、現状行っている活動および今後の活動についても広く伝えることができました。
そして、それを知ることができて希望を持つことができたと喜ばれている方、将来のプランが立てられるというご意見も聞くことができました。
今回、この講座を開催するにあたって協力していただいた皆様、講演いただいた先生方、なにより今回のこの市民公開講座に参加していただいた皆様に心より感謝申し上げます。
文責:土田裕也・小川晃佑(患者会事務局担当)