「DM-familyティータイム in 東京」レポート:正しい口腔ケアや、みんなの話で充実したお茶の時間
2019年11月24日 (日)、東京都杉並区高井戸地域区民センターにて「DM-familyティータイム in 東京」を開催しました。
当日は日本大学歯学部付属歯科病院 歯周病科 酒井 嶺先生から「みんなで知ろう、正しい口腔ケア」の話を聴き、みんなで交流。紅茶やコーヒー、お菓子をいただきながら和やかなひとときを楽しみました。
籏野あかねと酒井先生との出会い
DM-family理事長の籏野あかねは昨年、神経内科の主治医からの分厚い紹介状を持って、日本大学歯学部付属歯科病院を受診しました。初診時に「まずは歯肉炎と歯周病を治さなくては、虫歯などの治療ができません。先に歯周病科を受診してください」と言われ、歯周病科で籏野を担当したのが酒井先生です。
*日本大学歯学部付属歯科病院 診療科等の概要
http://www.dent.nihon-u.ac.jp/hospital/about/department/index.html
酒井先生の熱心な指導のもと、動かしにくい手を使い、毎日30分もの時間をかけて口腔ケアを行う籏野。「先生の指導をみんなに聴いてほしい」という願いを、今回のティータイムで実現しました。
「こんなに悪くなる前に、早く来ればよかった」歯の治療で後悔しないように
酒井先生の講義は、歯周病についての認識を新たにするものでした。
多くの人が、「若い頃に歯のケア・治療をしっかりしておけばよかった」と後悔しています。
成人の約8割が歯周病。悪化すると「歯磨きをしていると血が出てくる、歯がグラグラしてうまく噛めない」という状態になり、放置すると最悪の場合、歯を抜かないといけない状況になります。
「歯周病は骨の病気なので、痛みを感じにくく重症化するまで気づきにくい。痛みがないのに歯を抜かなくてはならなくなる場合もあります」
毎日のケアが重要です。
筋強直性ジストロフィー患者は、誤嚥性肺炎の予防に口腔ケアが有効
酒井先生は、この会の前に「専門家が提供する筋強直性ジストロフィーの臨床情報(DM-CTG)」を読まれていました。DM-CTGの「筋強直性ジストロフィーの多臓器症状(http://dmctg.jp/dm6.html)」を示し、続いて肺に口の中の雑菌が入ることで悪化する誤嚥性肺炎のリスクを、わかりやすく説明されました。
「(一般の人も)口腔ケアあり・なしで誤嚥性肺炎の罹患率が違います」と酒井先生。患者のケアをする家族たちも、真剣に聴き入りました。
さらに、籏野あかね自らの希望で、本人の症例写真を示しました。
「歯ブラシの指導をする前の籏野さんの写真と、1回目の指導後を比べてみてください。まだ、磨き残しのある場所はありますが、はじめと比べて、歯ぐきの色がピンク色に近くなり、歯ぐきも引き締まり、歯が長く見えるようになりました」
筋ジストロフィーの方は、上肢の可動範囲に個人差が大きいため、その人にあわせた口腔ケアの方法を考えていく必要があります。
正しい口腔ケアの3ポイント
- 持ち方
歯ブラシはペングリップ(鉛筆を持つような握り方)でやさしく磨く - 当て方
歯に対して45度に。歯と歯茎の間、歯と歯の間をきちんと磨く - 動かし方
歯1本ずつを10~20往復(約10秒間)動かす。手が動かしにくい場合は電動歯ブラシを使う
酒井先生は、「これを守ると、普通の人でも歯磨きに5分以上かかります。毎回の食事の度に5分以上するのは大変なので、1日1回は5分以上歯磨きに時間をかけましょう」と話しています。
「かかりつけ歯科衛生士さん」を持とう
口腔ケアは歯科衛生士にお願いしましょう。
歯医者さんでなければイヤ、という患者さんが多いですが、衛生士さんは口腔ケアの”プロ”です。かかりつけ歯科衛生士さんをつくり、しっかりした口腔管理をしていくことが大切になります。
「わたしの来し方」を語り合う
休憩後、参加者全員からのお話しタイム。多くの方が「わたしの来し方」を話され、みんなが「わかるわかる」「そうだよねえ」とうなずき、共感し合いました。
話している最中も、お茶係を務める会員たちがせっせと紅茶やコーヒーを淹れ、ミルクと一緒にサーブしていました。おいしいマドレーヌとチョコレート、籏野あかね作のメレンゲとスノーボールをいただきました。子どもたちには、おやつのおかわりを出しました。
帰りはみんなで協力して机を片付けたり、荷物チェックをしたり。参加費から経費を精算し、余剰金は後日、DM-familyに寄付しました。みんなで力を合わせていく楽しさと充実感。今年もいい時間を共有したいものです。