2017年1月14日(土)、DM-familyは市民公開講座「知っておきたい筋強直性ジストロフィー@東京」終了後に「ストレッチ体験&交流会」を行いました。
約30名の方に参加いただき、「自分でも誰とでもできるストレッチ」を体験しました。交流会では、患者やその家族の方々から、日頃の悩みや病気に対する思いの声が聞かれました。

「自分でも誰とでもできるストレッチ」

国立精神・神経医療研究センターの理学療法士、有明陽佑先生にご指導いただきました。本病気の症状に着目したストレッチです。タイトルのとおり、どれも気軽に行うことができ、筋力が低下する患者にとっては運動不足の解消にもなり、関節が動きにくくなったり、可動域が狭くなることを遅らせるような効果があります。

今回は手(主に指)や首、足(もも裏とふくらはぎ、アキレス腱)、すねと足首、背中と胸周りについてのストレッチの行い方や介助のやり方を体験しました。

出席者が体験したストレッチの一例を紹介します。

<手指の伸ばし方>

指が伸びた状態が長く続いている方が多く、曲げたり反らしたりする運動が大切になります。親指以外の4本の指が全て伸びた状態で反らすことが大切です。これ以上反らせない、というところで10秒ほどしっかりと伸ばします。

<アキレス腱ともも裏部分の伸ばし方(車椅子を使用している方向け)>

家族や友人、知り合いの方など手伝っていただく方がよいです。

アキレス腱・ふくらはぎを伸ばす介助のやり方
膝が伸びていることを確認し、かかとを握って、肘先のところでつま先を押さえます。そのまま足首を反るように伸ばします。つま先の部分を反るだけではなく、しっかりとかかとを握って伸ばすことが大切です。

ふとももの裏を伸ばす介助の仕方
 膝を曲げないようにして足を持ち上げます。この状態で30秒ほどキープ。これだけで十分伸ばすことができます。

*当日のストレッチなどについての写真解説・ビデオは筋強直性ジストロフィー患者会会員用の非公開Facebookに掲載しています。

先生からのアドバイス

  • 本疾患は様々な状態を呈するので、無理をせずに実施することが大切です。患者自身が「できる」「できない」を判断すればよいです。

  • 各部位を伸ばしていくときに、介助者は患者と話しながらやり取りをし、確認しながら行うとよいです。気持ちよい場所で20~30秒止めて伸ばします。

  • 筋肉が温まった状態で行うことは効果的ですが、お風呂に入った直後でないといけない、というわけではありません。

  • ミオトニアの症状により、体がこわばりやすいので、朝起きたときにしっかりと体を伸ばしてください。時間に余裕がある方は、日中に何回か行ってください。ストレッチは「やりすぎる」ということはありません。

「ストレッチ後の患者と家族の交流会」
泣いても、、、いいですよね(^o^)

ストレッチ体験後に患者と家族の交流会を開催しました。約30名(うち約20名が患者会会員)が参加いただきました。家族とともに参加いただいた患者さんや先天性のお子さんと共に夫婦で参加いただいた方もおられました。

円形になり、皆が向き合う形で自己紹介を行っていただく中、日頃の様子や悩み事をお話いただきました。中には日常の便利グッズの紹介をされる方もおり、このようなやりとりがありました。

参加者Aさん 「はじめまして。✕✕県から来ました◯◯といいます。(中略)ちなみに私が今かぶっている帽子は、中にヘルメットのような硬いものが入っていて、転倒しても頭を怪我しないように使用しています。見た目には普通の帽子に見えるんですよね。」
参加者Bさん 「へー、結構おしゃれですね。その帽子、何ていう商品で、どこで売っているんですか?」
参加者Aさん 「えーっと、なんていうところだったかなぁ……」
参加者Cさん 「たしか、△△っていう、ホームページで売っていたんじゃ?」
参加者Aさん 「そうそう、そこ!非公開Facebookに書いておきますね。」

このようなやりとりは、その場で話すことが出来る交流会ならではの光景です。現在、患者会の会員同志のつながりは主に会員専用の非公開Facebook上ですが、このように実際に対面して会話することの大切さを実感出来た瞬間でした。

多くの患者にとって、この病気のことを人前でお話しされることはあまり無いことかと思います。話す機会がない・相手に上手く伝えられない・理解してもらいにくい、ということもあるかもしれませんが、現実から目を背けたい・知られたくない・内にため込んでいる、という方も多いと思います。遺伝性ということで、差別にも似た偏見を恐れる方もおられるかもしれません。

今回、自己紹介の最中に、思わず涙を流された方が数名おられました。きっと、日頃の不安や辛い思いが溢れてきたのだと思います。それを目の当たりにした参加者の多くは、とても共感できたのではないでしょうか。泣いてもいいですよね。そりゃ泣けますよね。私も以前は話す度に辛くて泣けましたので、気持ちはわかるつもりです。

年齢や病歴、家族構成、生活環境、ひとりひとり違うのですが、この病気で悩みや不安、辛いことあるという面では、みんな同じなんですよね。

「みんな違って、みんなおんなじ」
そんなことが実感できただけでも、このような交流会を行った価値があったと思いました。
ずっと前向きの姿勢ではしんどいこともありますよね。ときには立ち止まり、泣いてもいいですよね。
(私もひどく落ち込むことがあります。そのたびに、周囲の方々から支えられています。自分と関わっていただいている人々への感謝も大切にしたいものです。)

患者やその家族は、他の患者やその家族と会うことが少ないこともあって、自分たちを客観的に見られなくなることがあります。市民公開講座や患者交流会は同じ病気の方と会える貴重な機会です。患者が他の患者と交流する中で、ご家族には見えていなかった面が見えてくることもあります。

ある患者のご家族から、息子がこのように考えていたとは思わなかった、というご意見をお聞きしたことがありました。出会うことで、患者・家族ともに何かが変わるかもしれません。

最後に、この交流会に参加いただいた方からのメッセージをご紹介します。
「普段、本人に症状を聞いても「大丈夫、変わらない」としか言わないのですが、交流会の帰りの車の中で、あれやこれやと自分の症状の話をしていました。リハビリを受けてみたいとも言っています。また、私も患者家族の立場で何人かの方とお話させて頂き、共感しあえたこと、励みになりました。」

素晴らしいと思います。少しでも多くの患者やその家族に、このように思って頂ける活動を行っていきたいと思います。

今回ご参加いただきましたみなさま、ありがとうございました。
そして筋強直性ジストロフィーの患者と家族、そして多くのみなさまからのご支持とご支援をいただきたく、今後ともよろしくお願いいたします。

文責:土田裕也(患者会事務局担当)