2018年7月16日(祝)に開催した「筋強直性ジストロフィー体とこころのケアin 名古屋」での終盤は「介護者も元気でいるための『動作法』体験」ワークショップ、「先生方に聞いてみよう!質問タイム」を実施しました。

介護者も元気でいるための「動作法」体験

家族や介助者もストレスマネジメントをしよう

大阪大学大学院 人間科学研究科 井村 修先生の認知行動療法に関する講義の後、会場では引き続き、井村先生からの動作法ワークショップを行いました。

動作法とは、50年くらい前から行われている肢体不自由の子どもたちに向けた動作改善の指導法です。動作法で体を動かすと、いろいろな効果があることがわかってきました。
たとえば、自閉や多動の子どもたちには行動のコントロールにつながり、言葉でのコミュニケーションが難しい子どもたちは相手の意図を理解できるようになります。うつや統合失調の方には根本治療にはなりませんが、元気が出てくる。高齢者が行うと、姿勢が安定し主観的幸福感が増します。

動作法は、医学的なリハビリテーションではなく、ストレスマネジメントの方法です。
身体感覚の変化を体験し、心と体をリラックスさせることを目的に行います。

筋強直性ジストロフィーは、家族で同じ病気になりやすく、介護にあたる健常の家族もつらいもの。たまには、ストレスから開放されてリラックスしたい・・・・・・ということで、今回はあえて患者向けストレッチではなく、介助者向けの動作法を教えていただくことにしました。

さて、井村先生は実際に数種類の動作法紹介を行いました。

1.体の硬さ調べ

立ってゆっくり前屈します。手のひらが床に付きますか?
「手のひらが付けば柔らかい。20代くらいですね。指が付けば30代。両方とも付かなければそれ以上です」と井村先生。
次に、いすに浅めに腰掛けて、またを広げて力を抜いて前屈します。パートナーは背中をタッチする程度に軽く触れます。


国立病院機構 刀根山病院 松村剛先生をモデルに、動作法の説明をする井村先生

ゆっくり起きて、次に右膝の方に体を前屈、そして左膝の方も同様に行います。
ストレッチではないので、パートナーはあくまでも相手の体にタッチする程度にします。
前屈して痛い感じが変わることを感じてください。

2.右側の肩を動かし、左側は動かさない

片側の肩だけを動かしてみましょう。逆も同様に行います。パートナーは肩に触れる程度に補助します。


高橋先生が肩を動かすのを補助する久留先生


副理事長 佐藤美奈子はご主人の補助で

3.両手の力を抜いて上に動かす

90度くらいに両手を挙げ、肩回りの力を抜き、体の軸を中心に前後に動かします。3回くらい行ったらゆっくり戻します。
パートナーは相手の手のひらを持ってあげてください。


参加者をサポートする井村先生

このほか、合計5種類の動作法を会場全員で体験。すっかりリラックスした雰囲気になりました。

先生方に聞いてみよう!質問タイム

動作法終了後に、そのまま会場からの質問をお受けしました。


(左から)大阪大学大学院 井村先生、国立病院機構 刀根山病院 松村先生、大阪大学大学院 高橋先生、国立病院機構 鈴鹿病院 久留先生

Q:症状が出ていない親族の遺伝子検査はできますか?
A:(高橋先生)検査をすること自体はできます。しかし、実施する前に目的をはっきりさせましょう。
 検査をしてメリットがあるかどうか、メリットとデメリットを考えてください。
 無症状の方は、大学病院など遺伝カウンセリングのある病院で、遺伝カウンセリングを受けてから検査をしてください。

Q: BIPAP(バイパップ)とCPAP(シーパップ)はどう違うのでしょうか?
A: (久留先生)CPAP(Continuous Positive Airway Pressure:持続陽圧呼吸療法)は呼気のみに陽圧をかけるものです。BIPAP(Bilevel Positive Airway Pressure:二相性陽圧換気法)は、呼吸状態に合わせて呼気と吸気の両方に陽圧をかけて呼吸を補助するものです。

Q: 睡眠時無呼吸症候群で、当初は鼻のみの人工呼吸器を使っていたが、口呼吸をするので、鼻も口も覆うものを使っています。こういう場合、口呼吸でも大丈夫でしょうか?
A: (久留先生)CPAPやBIPAPが有効になるのは、マスクと自分の体がフィットしているかどうか、圧がきちんとかかっているかどうかの確認が必要です。圧がかかっていても、「呑気(どんき)」と言って空気が胃に入ってしまい、おなかがパンパンになる人もいます。当初の目論見通りに効果があり、本人に苦痛がないことがベストです。
ただ形だけ付けていても有効な治療になっていないことがあるので、主治医とよく相談してください。

Q:家族がこの病気で病院に行ったら、担当の先生からメキシレチンを処方できるだけしてもらい、「何かあったら来てください」と言われました。検査も、健康診断の結果だけでよいと言われていますが、不安です。本当にいいのでしょうか?
A: (松村先生)この病気はいろいろな合併症があるので、定期的に診察を受ける方がよいと思います。ひとつの病院だけで全部を診るのは難しいことが多いので、どういう合併症があるのかわかっている専門医に1年に一度でもいいので診てもらい、アドバイスを受け、検査を受けるのは地元の病院、という方法もあると思います。

また、メキシレチン(メキシチール)は、ミオトニアの予防としてよく出されることがありますが、不整脈のための薬ですので、心電図に関しては定期的にチェックを受けることが必要です。(メキシレチンの)服用によって、逆に心伝導障害が出ることがあります。
本当に症状に効果があるのかどうかを確かめることも必要です。わたしは、基本的にはミオトニアにメキシレチンを処方しません。

*ご注意
メキシレチンを筋強直性ジストロフィーのミオトニアに向けて処方することは「適応外使用」にあたります。適応外使用は有効性や用法の安全性については確認されていませんので、注意が必要です。
「筋強直性ジストロフィーの治療とケア(川井充責任編集:医学書院刊、2000年)」では、「MyD(筋強直性ジストロフィー)の不整脈は、心不全や呼吸不全の合併、自律神経障害、さらにはミオトニアの治療薬(メキシレチン、フェニトイン等)によって悪化しうることにも注意が必要である。」と記載されています。

ほかにもたくさんの質問が途切れず、交流会を実施する時間が数十分ほどになりました。
ご参加いただいた方みなさんに、お名前とご住所をひとことずついただき、それぞれみなさんでの交流を楽しんでいただきました。

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