不安が減り・希望を持てる市民公開講座:アンケートが示すその効果

016年12月10日、筋強直性ジストロフィー患者会(DM-family)は「筋強直性ジストロフィー治験推進のための臨床基盤整備の研究班」班会議に出席し、研究班が開催してきた市民公開講座について、患者会アンケートを実施した結果を発表しました。
アンケート結果は「市民公開講座で提供される正しい知識は、患者と家族の療養生活に希望を与える」ことを示しています。 

回答者全員が「今後も市民公開講座が必要」

2015年から2016年にかけて、市民公開講座「知っておきたい筋強直性ジストロフィー」は12回、ほかの筋強直性ジストロフィーに関する市民公開講座を含めると合計17回、全国各地で開催されました。

当患者会では会員向けに、2016年11月に9日間、市民公開講座についてウェブでのアンケートを実施。アンケート回答率は57パーセントで、その全員が「今後も市民公開講座が必要」と回答しました。

 

市民公開講座で印象に残ったことは「治療薬が開発されている」「患者登録が必要」

会員にとって、市民公開講座で印象に残っていることは、主に下記の通りです。
・治療薬が開発されていること:74.4パーセント
・患者登録が必要であること:61.5パーセント
・いろいろな臓器に病気が起きること:53.8パーセント
・自分や家族以外の患者と会ったり話したりしたこと:51.3パーセント

 

市民公開講座は「希望が持て、不安が減少し、病気に意識的になれる」

市民公開講座が生活に影響があった、という回答も74.4パーセントと高い率となりました。以下のように、多くの会員が良い方向に変わったと回答しています。
・希望が持てた・不安が減少した:48パーセント
・病気に対して意識的になった:44パーセント

希望ある療養生活に。患者登録や訪問リハビリの開始、家族間での衝突も減る

市民公開講座で提供された正しい医療情報は、患者と家族の意識を変え、患者登録を決心する、家族間での衝突が減るなど、前向きな療養生活につながることがわかりました。

たとえば会員が生活の中で行うリハビリ、旅行風景、散歩の様子などは当患者会内での非公開Facebookページでもよく見られ、明るく幸せな笑顔の写真を会員同士で励みにしています。

今後の市民公開講座に望むこと:治療薬に向けた最新情報

「治験や開発されている治療薬・治療法についての情報」と「患者が参加できる双方向性のある講座」などの意見が目立ちました。
病気の説明には聞き慣れない言葉も多く、難しい言葉をわかりやすくすることや、短時間の講座などにも要望がありました。
かかりつけ医や地域の神経内科医にも、この病気を理解してもらうための市民公開講座があるといい、といった意見もありました。

患者会にとっての課題は、正しい医療情報の大切さを訴える活動の継続

アンケート結果は今後の筋強直性ジストロフィー患者会の課題も明確にしました。
難しい言葉を患者と家族に理解できるようにするには?そして、「病気を知らない・知りたくない患者と家族」に、知ることで希望が得られるということを伝えるためには?
患者と家族だけでなく多くの医療者に病気を知っていただき、患者と家族が研究に協力していくには?
わたしたちは、正しい医療情報の大切さを訴え続け、患者と家族だけでなく多くのみなさまの幸せにつながるような活動を目指して、活動を続けてまいります。

研究班の継続を願って。最後の市民公開講座にご参加ください

「筋強直性ジストロフィー治験推進のための臨床基盤整備の研究班」は2017年3月末日をもって終了となります。さまざまな研究を行いながら、日本全国で市民公開講座を開催し、多くの患者と家族に正しい知識を伝えてくださった研究班の先生方に、多くの会員がアンケートで寄せた感謝の言葉を、先生方に研究班の発表で伝えました。

筋強直性ジストロフィーは、根本治療だけでなく、さまざまな臓器に起きる病気の治療法も必要とされています。

この病気の研究を継続していただくことは、わたしたちの大きな願いです。

研究班最後の市民公開講座は2017年1月14日(土)に東京で開催されます。3年間の研究成果を聴き、希望の持てる年になるよう、多くの患者と家族、支援者のみなさまのご参加をお待ちしています。

*「知っておきたい筋強直性ジストロフィー@東京」の情報はこちらです。
*市民公開講座後には当患者会が主催する「ストレッチ体験&交流会」を開催します。
詳しくはこちらをご覧ください。
*この発表資料はこちらでご覧いただけます。